荒汐部屋 目次

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平成24年五月場所を振り返って その1

平成24年五月場所の総括を,荒汐部屋勢全員が大いに語る。語ることがなくても語る。千秋楽打ち上げより,恒例,早川様によるインタビューでお届けします。

  • その1 ― 荒汐,突光力,飛驒野
  • その2 ― 荒行志,寛龍,大小林
  • その3 ― 力山,廣瀬,荒獅子
  • その4 ― 剛士,荒篤山,式守一輝
  • その5 ― 大波,福轟力

師匠 荒汐

36勝42敗(勝率:4割6分)

写真 え~,お忙しい中,お集まり頂きましてありがとうございます。

今場所のうちの部屋は,「がんばれ東北!がんばれ福島!」という感じで,福島出身の赤井(福轟力)と大波が5番,剛士が6番と東北勢が頑張った以外は,かろうじて荒獅子が勝ち越した,というところです。

まぁ,負け越した力士は,先場所勝ち越して番付が上がって,家賃が高くて,稽古場通りの相撲が今場所の成績につながったかな,という感じです。廣瀬は今場所4番でも三段目に上がれるんじゃないかという位置で,自分の中でも意識したところがあったんじゃないかと思います。でも稽古しなきゃ勝てません。まぁ一番情けないのはリキ(力山)です。先場所まぐれで三段目に上がって,三段目で大負けして,また序二段に戻ってここでもまた負け越し。

みんな稽古場通りの相撲が今場所の成績になったという感じです。まぁ,今場所はあれこれ言い始めたらキリが無さそうなので,私からはこれくらいにしてあとは本人達から聞いてやって下さい。はい。

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突光力(とっこうりき)

1勝6休(序ノ口西3枚目)

写真 一番だけでしたけど,ようやく本場所で相撲取れたっす。もおぉぉぉーすっごい緊張したっす。これほどキンチョーしたのは初めてっすよ。

前日は昼寝の時から寝れなくて,夜も目を閉じても寝れんかったっす。相手が誰とかそういうことじゃなくて,これまで応援してくれた人とか,リハビリしてくれた整体の先生とかのこと考えてたら…この一番が黒星では恥ずかしいと思って。久々の本場所はヤバかったっすね。土俵に上がったらキンチョーマックス。相撲については立ち合いブチ当たっていったこと以外なんも覚えてないっす。頭真っ白なまま勝ち名乗り受けて,土俵降りた時に‘あー勝ったんだー’と思って。はい。ホッとしたっすね。

今年初場所最初の相撲で左肘全治3ヶ月の怪我をしてしまって,これまでの4ヶ月はリハビリ続きの毎日。ホント長かったっす。相撲取れなくてストレス溜まりまくりで,夕方は一人でウォーキングしまくったっす。稽古場でみんなが相撲取ってるの見て,クソッタレー俺も入ってやろうかーと思ったすよ。今場所中には稽古場でも相撲を取れたんで,もおぉぉぉーガンガンいきました。(一緒に稽古した大小林の感想:以前と変わらぬ『突光力る』相撲でした。はい。)

場所前の記事に自分の体がぶよぶよになってるだのあーだーこーだ書かれてますけど,体は今もぶよぶよです。はい,ヤバイっす。明日からは場所後一週間の休みですけど,自分的には明日からでもガンガン稽古したいくらいっす。今場所ようやく一番相撲が取れてホッとはしましたけど,「嬉しかった」と言うのはまだまだ早いっす。早く三段目に戻って笑いたいっすね。

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飛騨野(ひだの)

1勝6敗(序二段東70枚目)

写真 序二段の壁にぶち当たった今場所でした。

兄弟子達からは場所前に「飛騨野全敗予想」がまことしやかに囁かれていて,自分でも不安と覚悟を持って場所に入りました。初日の相撲は教習所でもよくやってた相手だったので,今場所勝つとしたらこの人しかいない。つまり初日早々「天王山」を迎えてしまったわけです。大事な大事な「天王山」だった初日・・・結果は寄り倒されて負けてしました。

大事な初日に負けてしまったので,二日目の朝には部屋の兄弟子達から「今日負けたら本当に全敗覚悟した方がいい」と言われて,他の部屋の兄弟子達には「今日負けたら相撲やめた方がいい」と言われました。そういう意味では二日目は相撲人生を賭けた「天下分け目の関ヶ原」でした。

普段稽古場で自分は廻しを取るより押していった方がいいと言われているので,二日目は立ち合いから思い切って押していって,相手ののどをぐいっと押してみました。そしたらあっけないくらいに相手が倒れてくれて,「天下分け目の関ヶ原」らしく勝敗はあっという間についてしまいました。自分の不安を見事に裏切ってくれたあっという間の勝利。やっぱり関ヶ原に「裏切り」はつき物です。

「1勝でも序二段に残れる」「いや1勝では序ノ口に落ちる」という意見が兄弟子達の中で真っ二つに割れていたので,‘ならば2勝したら確実に序二段に残れるだろう’と思って,次は序二段をかけた戦い,言うなれば「大坂冬の陣」に臨みました。

「大坂冬の陣」を勝利する作戦はしっかり立てて臨んだんですが,いざ相撲が始まったら,立ち合いなぜか変化するという稽古場でもやったことがない奇襲作戦に出てしまいました。なぜか時代が遡って「桶狭間の戦い」的な戦いをしかけてしまいました。やっぱり稽古場でもやったことがないことを本場所でやっても勝てなくて,そのままずるずると歯車が狂ったまま今場所が終わってしまいました。

来場所はどんどん押しで怒涛のように前に出て行く,いわば「武田の騎馬軍団」でいきます。織田信長に滅ぼされてしまうかもしれませんが・・・

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