荒汐部屋 目次

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平成26年九月場所を振り返って (1)

師匠が嘆きまくった今場所,恒例の早川様レポート(+荒汐部屋からの写真とひとこと)でお届けします。

大波(3勝4敗:幕下西27)

ショックです。悔しいっす。ホント,今場所は悔しい。

今場所,自分得意の左前みつが全然取れなかったどころか,触ることされ出来なかったんですよ。原因は・・・立ち合いっすね。相手が警戒してるっていうより,やっぱり自分の踏み込みの問題だと思います。場所中に親方にも,かなりきつく言われました。ショックです。でも実際,ハナクソみたいな立ち合いしか出来てませんから。

とにかく内容が悪すぎです。前に出て勝てたのは10日目だけです。親方に怒られた翌日です。がむしゃらに出ました。でもその後,足取り,首投げで2連敗・・・。今はどこをどう修正して稽古していったらいいのか,頭も心も整理が出来てません。

ただ心の中にめちゃくちゃ悔しい気持ちがあるのは確かです。今場所の悔しさを忘れずに,ただがむしゃらに稽古に精進するしかないっすね・・・。

photo(千秋楽打ち上げでお客様に今場所を苦々しくご報告。)

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剛士(3勝4敗:幕下西37)

今場所は立ち合いから前に押し込むことに集中して取りました。前に出ることは出来たと思うんですけど,そこから巻き返されて負けたという相撲が何番かありました。場所中に体重がちょっと落ちてしまったのもあるんので,これからもっと意識的に食べて体重をもっと増やして,最後まで押し切れるようにしていきたいです。

親方には「もっと稽古したら自然と食べる量も増える」って言われました。自分,腕立てとか上半身の稽古とかは変化が分かりやすいので好きなんですけど,それじゃいけないんですよね。四股,すり足,ぶつかり稽古とか,下半身の稽古って成長してるのか,変化が分かりにくい。本当はその地道な稽古が大事なんですよね。四股一つにしても,本当に力がつく四股があります。それを意識してやらなきゃいけないんですよね。

先場所は考えすぎて身体が動かなかったですけど,今場所は無心で前に出て逆転されました。またもや全然納得出来ないうちに,場所が終わってしまいました。今はとにかく体重を増やして,来場所はここ数場所のモヤモヤ感をふっとばしたいと思います。

photo(ずっと笑顔の荒篤山を横目に,負け越しの悲しみを表現中。)

荒汐部屋からプチコメント

師匠荒汐は,剛士を見る度に「剛士は稽古してない,剛士はもっと稽古しろ」としか最近言いません。が,師匠の言ってる稽古は,上で剛士が言ってる稽古ではなさそうです。剛士はもうとっくにそんなレベルを通り越して――幕下ですんなり優勝してしまうように――,明日にでも関取となるべきところにいます。

関取は相撲ひとつでお客様を呼び,感動させることができる存在です。日常の延長で稽古していても,そんな関取には決してなれない。想像を絶するまでに肉体を鍛え,相撲の研究を日々重ね,精神を研ぎ澄まし,そんなまさに「修行」というにふさわしい日々を乗り越えた者だけがやっと,他人の心をその相撲で揺さぶることができます。丹念に稽古を重ねても強くなるかもしれないけれど,大相撲の,プロの,「関取」として存在したいなら,相撲ひとつで人の心を動かせるまでの存在にならねばならない。そのためには死に物狂いの日々を過ごすしかない。そういう「稽古」の日々を過ごすことが,今の剛士はできるし,できるのは今しかない,だから「稽古しろ」と言うのです。もう,目の前にそんな人を魅了する関取が,剛士には見えているのです。だから「稽古しろ」と言うのです。時に師匠が「もう福島に帰れ」とまで言うのは,そういう関取になるつもりがないのなら,もう稽古する意味はないでしょ,ということでしょう。

去年の福岡では,剛士は死に物狂いの稽古をやり抜きました。今年の福岡から関取になるまで,剛士はきっと再びあの猛稽古を乗り超えていく。誰より厳しい稽古を積み,そして,普段は心優しく土俵では鬼と化す誰をも魅了する関取剛士に,もう間もなくたどりつく。そう信じているのは,師匠だけではないはずです。この剛士の活躍を,どうぞ皆様お見守り下さい。

photo

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福轟力(5勝2敗 勝ち越し:三段目西9)

5勝2敗・・・。内容の方はサイアクですね。決まり手は目も当てられません。先場所全敗したことで相撲が消極的になってしまったこと,反省,反省,反省です。

先場所は頭からいって前に出る相撲を取りきるんだって,ある意味意地になって最後まで取ってたんすけど,結局,逆転負けの連続であの結果。今場所も前に出ようとは思っていたんすけど,「また逆転されるんじゃないか・・・」と,不安になってしまって。自分は大体,前の夜に寝る前までには「明日はこういう相撲でいこう」って決めていくんすけど,今場所は支度部屋でウォーミングアップしてる辺りで「この相撲でいいんだろうか・・・」って,自信が無くなってきて。迷いのうちに,目先の勝ちにこだわった相撲に走ってしまってました。

今取り組んでる新しい相撲は,稽古場では何かを掴みかけているんです。前の相撲は,自分なりの「流れ」が分かっていたんすけど,今は新しい相撲でその「流れ」を模索中です。こういったら,次はこう,それでこう,っていうね。稽古場ではいい感じになってきてるんすけど,本場所では稽古場での相撲が全然とれないんすよね。やっぱり,緊張ですかね。これから,心の部分ももっともっと強くならないといけないと思います。

何はともあれ,今年初の勝ち越しです。初場所は最高位から始まって,下降線の一途。未だトンネルの真っ只中。来場所の九州をしっかり締めて,「終わりよければすべて良し」の一年にしたいと思います。

千秋楽での師匠のコメントより抜粋

福轟力は,稽古はよくやっている。あとは「つらい稽古」「しんどい稽古」がどれだけできるかだ。そういう稽古によって心の部分も鍛えられるだろう。

photo(3つ勝ち越して千秋楽を迎えた力士とは思えない様子の福轟力。今場所の反省と来場所への計画で頭はずっとフル回転中。)

その2(荒篤山,寛龍,飛騨野)へつづく >

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