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平成27年五月場所を振り返って

お待たせをいたしまして恐れ入ります。2015年5月24日中央区・銀座ブロッサムにて開催された千秋楽打ち上げパーティーより,恒例の早川さまによる総括インタビューをお届けいたします。

全体成績は33勝35敗休場2人,と特に上位陣に良い結果となりませんでしたにもかかわらず,当日はたいへん多くの方にお越しいただきました。こうして応援いただけることが,皆どれだけ力になっていることか。改めて御礼申し上げます。

では,夏に向けての力強いコメントをどうぞご覧ください。

師匠・荒汐

相撲は皆が関取になれる訳ではありません。私は大事なお子さん達を親御さんより預かって,強くするために育てています。その為には,私を憎んでも恨んでも,嫌いでも何でも結構でございます。強くなる為にはそのくらいのことをしないと強くはなれません。相撲は,そして稽古は,人の為にするのではない。我が身の為にするんだ,ということをしっかりと分かってもらいたい。相撲という青春を,そして相撲人生を,悔いなく過ごして,そして後で反省しないように,一生懸命稽古をしてもらいたい。それだけが私の願いです。今場所は本当にそのことを痛感するいい機会だったと,そう思っております。

飛騨野(4勝3敗:序二段西70)

Photo とにかく勝ち越せてホッとしています。「My明治維新」をテーマに掲げた今場所。もしも負け越していたら革命の火が消えてしまう,とんでもないことになる可能性があったので,この勝ち越しはいろんなことを繋ぎとめてくれた勝ち越しとなりました。

Photo相撲内容としては,今場所は引かれて前に落ちる相撲がなかったのは良かった点だと思います。今場所のテンションの高め方としては,部屋を出て国技館に着くまでに,頭の中で流れる唄を決めて行きました。「一日一曲」で「一日一番」に集中する。勝った時には,次回も同じ曲を頭の中で流す。負けた時に曲を変えるといった具合。そして花道から土俵に入る時,日の丸の旗を見上げてまわしをポンと叩いて気合を入れる。これは勝っても負けても変わらぬ自分スイッチ。

「My 明治維新」は始まったばかりです。薩長同盟なんてほど遠い。坂本龍馬には未だ出会えてもいません。まだ長州藩内で革新派と旧勢力が議論してる段階。まずは自分の中で旧勢力を排除し,改革を進めていかないといけません。道半ば。紆余曲折。試行錯誤。

来場所は常川とほぼ同じくらいの番付だと思います。三段目レースは振り出し。今度は自分が先手を打てるよう,革命路線を続けます。もし今場所で常川が上がっていたと想像したら・・・考えただけでもあ~おそろしや。

常川(2勝5敗:序二段西12)

Photo また序二段上位の壁に跳ね返されてしまいました。これで三度目です。三段目という夢は,初日からの三連敗で早々にも遠ざかってしまいました。こういう時はラーメン食べるしかありません。

今場所はいつもにも増して自分の悪いクセが原因で負けてしまった相撲がありました。立ち合いからの当たり,それから前に出る力というはついてきたとは思いますけど,土俵際の逆転で負けた相撲が三番もありました。このすべてが自分の悪いクセが敗因だというのも分かっています。あと一歩で勝てる!と思った瞬間逆転負け・・・こういう時はラーメン食べるしかありません。

来場所は飛騨野さんとほぼ同じくらいの番付だと思います。飛騨野さんとの三段目レースですか?はい。意識しています。ただ飛騨野さんは自分の10倍以上意識していると思いますが。

今場所は自分の悪い部分もよく分かりましたから,稽古でやるべきことがさらに明確になりました。克服できるようにしっかり気合い入れて稽古していきたいと思います。こういう時はラーメン食べるしかありません。

寛龍(6勝1敗:序二段西筆頭)

Photo 4勝3敗で勝ち越してまた三段目に戻れればいいや,って思っていたので,6勝なんて自分でも驚いています。えへへ。 今場所は物言いが三回もありました。際どい相撲だったんで,もう一丁かなぁと思いながら待っていたら,全部軍配をもらえたんでラッキーでした。えへへ。

廣瀬:「川口さん(寛龍)に廻しとられたら厄介ですよ。小力(こぢから)が強いってやつですか。うっちゃる相撲多いですけど,確かに土俵際とかしぶといんです。」

今場所うっちゃって勝った相撲(12日目)は,立ち合いに相手のかち上げであごをガーンとなぐられて,土俵際倒れこんだ時に相手の膝がまたあごにガーンと当たったんですよ。踏んだり蹴ったり?いや,殴られ蹴ったり?う~ん,こういうのは何て言うんだろう?えへへ。

突光力(4勝3敗:三段目東99)

Photo ありがとうございます。ホント嬉しいっす。優勝した時(平成26年一月場所の序ノ口優勝)より100倍嬉しいっす。

入門して6年半,三段目での勝ち越しを一つの夢にしていましたからホント嬉しいっす。その間腰・肘・膝あっちこっち怪我もあって,正直去年の秋頃はいろいろと思うこともありました。序二段のカッコ悪い地位でも勝ち越せない・・・その頃は三段目に戻ることが目標で,勝ち越しなんて考えることも出来ませんでした。でもそこからもう一度気持ちを立て直すことが出来て,4場所連続で勝ち越すことが出来ました。

ですから勝ち越しを決めることが出来た最後の相撲では,もう勝った瞬間にいろんなことが頭を巡ってしまって・・・。花道を帰る時は心の中でテーマソングが大音量で流れていました。この喜び。力士をやってて良かった! あきらめないことって大事ですね。それを教わったこの一年だった気がします。

今場所はホントにやることはすべてやって臨みました。本場所中というのにガンガン朝稽古して,支度部屋では汗が噴き出すくらい入念に準備運動して。毎日飛騨野相手にガッツリ稽古してましたね。と言っても勝負は自分の圧勝ですが。え?負けること?ないっす。飛騨野に負けるようになったら自分の力士人生は終わりだと思ってますから。

飛騨野:「ちょ,ちょっと待って下さいよ。自分はバロメーターっすか?」

そう。

廣瀬(5勝2敗:三段目東94)

Photo おかげさんで「三度目の正直」で三段目勝ち越すことが出来ました。今場所は相手を前に置いて押していく,自分の相撲が何番か取れたと思います。

集中力の高め方っていうわけじゃないですけど,自分なりのルーティンはありますね。花道で出番待っているとき,蹲踞して気持ち一度を静める。出番が来たら体をバシバシ叩いて気合を入れる。あとは缶コーヒーですね。勝った時はいつも同じ銘柄の缶コーヒーを飲む。負けた時には銘柄を変える。負けが込んできた時は同じ自動販売機のすべての銘柄を飲みつくしてしまうので,そうなったら別の自動販売機で別の銘柄の缶コーヒーを買わなきゃいけないんです。幸いなことに,今場所は一つの自動販売機で一場所乗り切ることが出来ました。

次の目標は三段目定着ですね。来場所は未知の領域に上がると思うので,定着出来るようにしっかり稽古します。

力山(2勝5敗:三段目西76)

Photo もう満身創痍っすよ。膝ガクガク。でも最後まで相撲取れたんで,ヨカッタっす。

Photo(千秋楽パーティー中,荒汐力士の全取組が上映。)大丈夫っす。自分の相撲ちゃんと観れます。今場所は前に出て攻めてましたから。でも,やっぱ軽いっすね,自分。あ~あ~,あんなにちょこまか動いてるし。そしてバッタリ。ははは。

この成績だと来場所は序二段かもしれませんね。でも大丈夫っす。また勝ち越して戻ってきますから。自分エレベーターっすからね。ははは。

後編へつづく >

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