荒汐部屋 目次

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平成28年七月場所を振り返って

例年の酷暑が嘘のように涼しくすごしやすかった今年の名古屋。荒汐部屋勢は,蒼国来が超苦戦を強いられたものの,終わってみれば,47勝45敗,勝ち越し8名,全員無事に終えることができました。そんな今場所を全力士が振り返って語ります。まずは全員勝ち越しの序二段カルテットからどうぞ。

綿谷(序二段東96)4勝3敗 ※勝ち越し

ありがとうございます。

最初は2連敗で始まってしまって,気持ち的にちょっとヤバい感じになってました。1つ勝ってホッとはしましたがまた負けて,もうだめかと落ち込んでたんですけど,そうしたら他の部屋の1期上の兄弟子に「勝ち負けより,自分の相撲をとることに集中していったほうがいいよ」って言ってもらったんです。その兄弟子も師匠から言われて身に染みたそうなんですけど,自分もなぜかそのことばがすんなり自分の中に入ってきたんです。本当にそのとおりだな,って。これまで勝とう勝とうと思って身体が動かなくなってたんですけど,これを聞いて以来ラクになって,ヘンに緊張しなくなりました。

ただ,やっぱりまだどうしてもついまわしを取ってしまうので,そのクセを直していきたいです。

今場所は同期でいつもぜんぜん勝てなかった相手に勝てたことがうれしかったです。教習所から先場所までずっと勝てなかったので。これからも良きライバル関係になれるように稽古していきたいと思います。

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力山(序二段東52)5勝2敗※勝ち越し

まさか自分にこんな勝ちへの執念があったとは,我ながら驚きっすね。

5勝1敗で迎えた最後の一番。相撲は完全に勝ってたのに,勇み足・・・。悔しくって仕方ないですよ。相撲取る前は,勝つことはまぁ無いっしょ,けど,ちょちょっと勝っちゃったら一気に三段目復帰なんだけどな,とか気楽にあれこれセコいことしか考えてなかったんですけど,今場所はちょっと連勝してなんか気分が盛り上がってきたこともあって,なんだか柄にもなく,ヤル気がみなぎってきちゃって。久しぶりの感覚だな,この感じ!って,だんだん高まっちゃったんすよね。今場所はここまで引きもバンバン決まってたし,ノってきてたんで。それで珍しく最後は思い切って前に出てやったら,結果こんなことに・・・。勝ちきれなかったのがこんなに悔しいとは。

引きっすか?毎場所,何番かは引かなきゃ気持ちが悪いくらいです。っていうのも,自分にとっちゃ相撲って,陸上の短距離と同じような感覚なんですよ。立ち会いの瞬間からほんの数秒ですべてが決まる。そういう一瞬の世界。今場所はそこらへんがよかった。ぎゅっと凝縮した一瞬の中でバチっと決まって。こっちは出たとこ勝負なんですけど,相手は当然あれこれ考えてやってくるじゃないですか。そういう相手の読みを自分の動きが見事に外した時,変化にしろ引きにしろ,完全にキマルんです。これが気分イイ。もっとも,もちろん客席からのブーイングはすげぇっすよ。一瞬で終わっちゃうから。「また変化かよ!」とか「相撲じゃねーよ」とか「金返せ」とかまで言われますもん。ま,自分にできる限りの相撲ってのはコレなんで。だから最近はだんだんこっちも逆にブーイングもまぁありかな,ってな気になってきて,ブーイングがあるほど「注目ありがとっ!」って感じになってきました。

だけどホントやっぱり6番勝ちたかったなぁ。もったいないなぁ。

て言っても,今場所は病気も怪我もなんもなかったし,それがなにより良かったです。これで来場所は久しぶりの定位置,序二段上位なんで,また三段目にすーっと上がりたいっすね。

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廣瀬(序二段西49)5勝2敗※勝ち越し

さすがに今場所は勝ち越さなきゃな,という危機感がありました。

自分の最高位は去年の名古屋で,そこから数えて1年で100枚くらい落ちてるんですよ。ちょうど場所前は下諏訪,宮古島と行けて,リフレッシュすることができたので,いい気分で名古屋での稽古もできました。

序盤から早々にうまく3勝できたので,「廣瀬の法則(=3勝すれば勝ち越す)」からしてこりゃもう勝ち越したも同然,と思ってたら3勝2敗になっちゃって,久しぶりのことだったせいか3-3も脳裏をよぎりましたが,それでも平常心で無事5勝までいけました。やはり廣瀬の法則は健在です。

欲を言えば6-1で一気に三段目と行きたかったところですが,切り替えて来場所もう一場所勝ち越すのみです。そういう意味では,来場所に向けて力をためた場所,という感じですかね。

今場所から,久しぶりに付け人の仕事が一切無くなったので,自分のことだけに集中できたのもよかったですね。こんなに気持ちがラクになるとは。長らく勤めさせてもらいましたが,やっぱり緊張してるんですね。

さぁ!いよいよ東京に帰ってからが勝負です。ここはあんまり人がいませんから。東京戻ったら歩いて歩いて,レアポケモンをGETだぜ!

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飛騨野(序二段西11)4勝3敗※勝ち越し

「あれはまぐれだった」それだけは言われたくなかったです。

三段目に上がったはいいけど,一場所限りで落ちっぱなしじゃたまりません。だから今場所は必ず勝ち越して戻るんだ,と強く思って臨みました。

それが終盤まで黒星が先行する展開になってしまって,「あぁ,昇進を決めたあの大阪は何か特別だったのかな」と一瞬思いました。場所前もこっち来てすぐ,稽古してたら何か調子おかしいなと思ったんで病院に行ったら39度の熱で,そこからセキが止まらなくて丸4日寝込んでたんです。それで1週間布団の中だったので,身体も悲劇的なまでに真っ白に。なんとか1週間稽古して場所に間に合った,というバタバタだったんです。

場所中もギリギリの勝負が多くて,最後の一番も軍配はこっちだったんですけど物言いがついて,しかもその協議が長くて。ただ自分では,絶対自分が勝ってるっていう確信がありました。というのも,先場所勇み足で痛い目にあってるので,今場所は土俵際は特に意識してたんです。だからハッキリ相手の足が出るのをこの目で確認するまでしっかり寄っていってたんで。

そうは言っても長い協議の間は,もう祈るような気持ちです。あーやばいやばい,お願いお願い,絶対こっちが勝ってる勝ってる,って。そしてしかも,協議が終わって会場説明となると,その出だしの決まり文句が「行司軍配は東方力士にあがりましたが・・・」。この「が」って何? 逆接の「が」としか聞こえないんですよ。「~が,行司軍配どおり東方力士の勝ちとします」って聞いて,どっと安堵。心臓に悪い。

そんなギリギリの勝負を制しまして,無事勝ち越し。たぶん来場所は三段目に戻れそうです。先場所のリベンジをなんとしてでも果たしてたいですね。

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