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荒汐部屋

2010-03-28更新

平成22年 三月場所(大阪)

今場所を振り返って

平成22年三月場所を終えて全力士にその感想を聞きました。

今場所の注目はなんと言っても蒼国来の勝ち越しでした,とか言いたいところですが,部屋にとっての印象は,場所前のノロウイルス感染禍。次々と力士たちがバタバタ倒れ,稽古場にはいつも誰かがいない,というナカナカ悲惨な場所前となりました。

それにしてもどうにも場所前になると病人が出るのが荒汐部屋,という印象を拭えなくなりつつあるこの頃。本場所前という独特の精神的な負担状況や,地方なら宿舎生活という普段とは違う環境などから,体調を壊す面もあるのでしょうが,ここまで来ると,部屋という一つの集合体自身がセルフ・ハンディキャップの呪縛に陥っている気さえしてきます。つまり,勝ち越せば自分の実力のおかげで,負け越しても自分の実力のせいではないと自分で信じられるように,知らず知らずわざわざ不利な状況に自分を置こうとしてしまっているのではないかと。もっとも,心理学で言ういわゆる「セルフ・ハンディキャップ」は行動や発言についての話。わざとカゼを引いたりウイルスに感染したりするような行動があるわけでは決してないので,的を得た話ではないのですが,それにしても。

いずれにしても,力士の力は唯一本場所の勝ち星によってのみ評価される。それを思い知るからこそ,皆,今場所の感想を語るときには,普段の雰囲気から稽古場さながら真剣な表情に一変します。そんな彼らの思いを聞いてやってください。

  1. 大波・廣瀬・荒篤山・大小林 編
  2. 鴜洲・力山・寛龍・五十嵐 編
  3. 福轟力・式守一輝・日の光・荒獅子・蒼国来 編
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2010-03-14更新

大波 (序二段西56枚目:5勝2敗)

え,予想外の結果で。

そんなつもりじゃなかったんですけど,確かにみなさんに言われるとおり,気の緩みがありました。支度部屋で四股が足りなかったとか,否定しきれないところがあります。反省材料です。でも来場所勝ち越せば三段目なんで,もっと気を引き締めて頑張ります。

今場所は自分も5kg痩せました。もうげっそり。場所直前の一週間びっちり稽古をまったくしてません。とっておきにキツかったっす。もともとお腹は弱いほうなんですけど,あんなのはちょっともう経験したくありません。完全に稽古不足になってしまった今場所です。(荒篤山:こいつウソばっかっす。油断しすぎっすよ。)

大波

(写真:茶化して苦言を呈する兄弟子荒篤山に,メンチビームで応える大波)

廣瀬 (序二段西90枚目:3勝4敗)

えー,ま,そーですねー,序二段になってからというもの,立会いで半身に受けられて,横から崩されることが多くなってきました。自分から斜めに行くとかちょっと工夫しないとダメなんですかね。今場所は変化する立ち会いもやってしまったんですが,1回やってしまうと,身体が勝手に変化も動きの選択肢の一つに入れてしまうんですね。これでは自分のためにならないんで,もう2度としないように心がけます。もちろん稽古場では,全然そんなことしようと思わないのに,本場所は独特ですね。

廣瀬

今日は,兄が車で迎えに来てくれたんで,それに乗って徳島までちょっと帰ってきます。

荒篤山 (序二段 東109枚目:4勝3敗)

むっちゃ気持ちいいっす。でも悔しいっす。最後の1番,変化されて。くっそぉ。5勝できてたのに,やられたっす。でも勝ち越してサイコーっす,気分は。

荒篤山

髷も昨日結いました。むちゃくちゃ引っ張られてるんで痛いっすよ。笑うと目じりが引きつって,むっちゃ痛いっすよ。でも,これで気分は力士です。今までは見習いみたいな感じでしたけど,髷を結うと,ホンモノの力士になったなって実感するっす。気分いいっすね。

大小林 (序二段西113枚目:3勝4敗)

こんなものなんですかね,人生なんて。。。

大阪に来て,ちょっと頭痛と喉がおかしいから風邪かな,って思ってたんですが,あんまり気にしないで稽古してたら,熱が出てきておかしくなってしまいました。結局大阪では,実質2日しか相撲をとってないです。いや,風邪とかのせいだけじゃなくて,また頭の内出血になってしまって,稽古ができなかったんです。(※注:頭の内出血とは,よくマンガやドラマで,目にパンチを受けた人が,パンダのように目の周りを内出血でパンパンに黒く腫らしているようなシーンがありますが,あれです。実際,見た目としては,かなり酷い目にあっているように見えます。)多くの力士が一度は経験するこれですけど,大阪に来る前になったばっかりなのにまたなるだなんて。ズキンズキンして鈍く痛いんですよ。

大小林

何とか本場所には間に合ったものの,例の如くガチガチの前半戦で3連敗。こうなると「もうどうでもいいや」「もう勝てることなんてなだろうなぁ」「ここまでよくやったよ,自分」って気持ちになってきて,そうするとなぜか土俵で普段の相撲が取れるようになって3連勝。するともう1つで勝ち越しだ,という欲がでてきて,またガチガチになって棒立ちの酷い体勢になったところを引かれて負け。

どうしたら7番とも自分の相撲をとることができるか考えたんですが,つまり変な緊張感をどうすればいいのかを。それでわかったのは,緊張感の問題じゃなくて「自分の相撲」のほうが問題なんだということ。つまり,自分の形はこれだ,って決まったものがあったら,どんな状況になっても,何も考えられなくなっても,その形のことに意識を集中すればいい。でも今の自分のように,どういう相撲がいいのか,いつも考えているような状況だと,どうしようか考えている間に相撲は終わってしまう。「自分の相撲」を決めて集中的に取り組むっていうのは,単に相撲の内容だけじゃなくて,そういうメンタルのコントロールにも必要なんだなぁとよくわかりました。今後の稽古の大きなテーマです。

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