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2010-08-10更新

平成22年夏巡業

福轟力の巡業日記(一日だけですが)

暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。荒汐部屋の福轟力です。

この夏は関取の付け人として夏巡業に参加させてもらっています。夏は福島市で巡業があって,自分は福島市出身なんで,行かせてもらうことになりました。いや,あの,まず,この巡業アルバムは自分がなんとなくしゃべったことを,記録係の人が形にしてくれるってことなんですが,あんまり大げさな脚色とかはカンベンして下さい。みんなにいろいろ言われるんで。(※というわけで,小さく脚色いたしました。)

福轟力の巡業日記 (写真:福轟力がきちんと(?)付け人業をこなしているので,花道にいても笑顔でいられる蒼国来)

それで,巡業なんですけど,いつもは付け人やってる内海さん(荒獅子)が行ってるんで,自分は今回が初めてで,内海さんがだいぶ教えてくれたんですけど,それでもやっぱ知らないことばっかりで,正直結構疲れます。けど色々勉強になって,やっぱいいっすね。

まずビックリしたのは,巡業は朝が早いんです。5時前には起きなきゃいけません。一応会場入りの時間は決まってるんですが,その時間のなかでもいち早く支度部屋に行って,明け荷をならべて,関取にいい場所を用意するんです。広くて涼しくて関取が準備しやすい良い場所を,ほかの関取の付け人と争って確保するんです。朝からひと勝負ですね。バスで付け人が全員一斉に会場入りするときは,バスの順番とか,自分でどうしようもない理由でいち早くいけないときもありますが,そんなときは,同門の陸奥部屋の兄弟子が自分らの分も確保しててくれたりして,勝負の中にも,助けあうところもあって,自分まだ何もわからないんで,ほんとありがたいっす。正直,一人じゃ何していいのか全くわからなくて不安だったところを何回も助けてもらいました。以前は,巡業でもちゃんこを作ってたらしくて,その準備もあるから3時とかに起きてたらしいんで,その話を聞くと今はだいぶラクなんじゃないですか。

福轟力の巡業日記 (写真:新潟も福島も秋田も青空がキレイだ,緑と青の自然を味わう福轟力)

場所を確保して,関取の稽古の準備を終えると,すぐ自分らの稽古が始まります。巡業は同じくらいの強さの相手がたくさんいるので,番数もこなせますし,中身も充実しますね。自分もでしたけど,御当地の力士は,稽古でも声援をたくさんもらえるので一層気合が入ります。ただ,会場によってはものすごく暑くて,ちょっとそれだと数はこなせません。稽古つけてもらおうと思って幕下の土俵にも上がってみましたが,やっぱ三段目だとなかなか買ってもらえません(稽古相手に指名してもらえない)でした。幕下に上がって力つけたいっす。

自分の稽古が終わると,自分の髷をなおしてもらったり関取の風呂の準備をしたりして,関取が稽古を終えて戻ってくると,風呂に入ってもらって髷やってもらって昼ごはん食べてる間に,能書きって言うんですけど,帰りのバスの割り振りとかホテルの部屋とかが張り出されるんでそれをメモして移動の段取りを考えます。そうこうしてるうちに関取の土俵入りが近づいてくるんで,化粧まわしの支度をします。自分,化粧まわしのつけ方も知らなかったんで,これも兄弟子に教えてもらいました。

付け人の取り組みは全員があるわけじゃなくて,御当地の人は絶対ありますが,あとはあったりなかったりです。巡業の取り組みの雰囲気は独特ですね。本場所は星一つ一つにみんな自分の人生がかかってますから,何をしてでも何としてでも勝つって相撲ですが,巡業は自分の力をお客さんに見てもらうのがメインですから,引いたりかわしたりってことはあんまりなくて,相手に怪我させても自分が怪我してもいけないので,強引な技もないですね。本場所よりかなり穏やかな雰囲気です。ただ,御当地力士は,場内放送でも○○市出身とか言われるし,とにかく声援がものすごいので,やっぱりはりきっちゃいますよ。自分も今までに経験したことのない拍手をもらって,本場所なみに緊張してしまいました。

福轟力の巡業日記 (写真:秋田巡業前の1日休暇で秋田の名物,ユウガオの実に驚嘆する福轟力)

土俵入りが終わると今度は関取の取り組みの準備をしつつ,帰り支度も始めます。化粧まわしとか明け荷に入れるものと,キャリーバックにいれて自分で運ぶものと考えて仕分けします。最初全部明け荷に入れたら,想像してたより籠自体が重くて,担いで運ぶのが大変でした。とは言え,みんな見てるし下ろしたら格好にならないんでなんとか必死に運んだんですが,いまもまだ肩が痛いっす。重いだけじゃなくて硬いんですよ。

関取は取り組みの後も風呂にはいるんで,その準備とかも平行して進めて,あとはサッと移動できるようにすべて整えておきます。

福轟力の巡業日記 (写真:日本海の水平線に沈む夕日を眺める福轟力)

取り組みが終わると一斉に次の巡業地に移動です。長距離以外は基本的に貸し切りバスです。関取はみんな大きいんで当然2座席を使います。その空いた席に付け人がだいたい兄弟子から順に座っていって,自分みたいなのはまだ付け人の中ではペーペーなんで,最後に座る感じです。が,最後なんで,席がもうないことも多くて,補助席に座ることもあります。巡業中は昼寝の時間もないし朝も早いんで,移動の間に寝れるとラクなんですけど,補助席だと,さすがにちょっと寝れませんでした。

宿舎は関取は基本的に個室ですが,自分らは大部屋のこともあれば,2人部屋とか個室のときもあります。大部屋だと宿舎につくなりまた場所取りの戦いです。一番人気はやっぱ壁際のコンセントのそばです。

そんな感じで,巡業はとにかく仕事が忙しいっていう印象です。でも笹井(行司の式守一輝)さんはもっと忙しいみたいっす。先発隊になったらしくて,自分らが乗り込む時にはもう次の巡業地に行って準備をしてるそうです。

でも,巡業で一番いいのは,やっぱいろんなところに行けることですね。とくに自分,星が好きなんですが,東京では全然星が見えません。阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる星空が自分のほんとの空っす。。。。巡業先だと空がきれいなので,星がよく見えるんですよ。あと,水平線も今年初めて見ました。なんだか吸い込まれていきそうです。あぁ夕陽が俺に残した空の紫よ,あ(※また自分に酔いしれだしたのでこのあたりでオシマイにします。)

福轟力の巡業日記 (写真:沈んでしまっても水平線を眺め続ける福轟力)

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